不定期にだばぁする場所

なんとなく長々書きたくなった時に書きます。

虫垂炎体験記

 虫垂炎、盲腸って言った方がわかりやすいんでしょうか。お腹がすっごい痛くなるあれです。

 この度手術をすることとなりまして、そこに至るまでの経緯とかいろいろまとめてみようと思った次第であります。

 近年では虫垂炎になっても薬で対処してしまうケースが少なくないようです。ただ、どうしたって虫垂はそこに残っている以上再発という可能性は常にあります。私の場合、最初の発症以降少しでもお腹の調子が悪いと「また発症するんじゃ・・・」という気持ちになってしまい、それがかなり精神的につらかったです。

 

1回目

 初めての発症は2015年10月末。健康診断を翌日に控え、その日は昼くらいから自主的に食事を軽くしてました。晩御飯は完全に抜きにしたんですが、夜になってなんだかお腹に痛みが・・・。

 お腹が空きすぎるとお腹が痛くなることってあるじゃないですか?この時もまぁそんな感じだろうと思ってたんですよね。ところが一向に痛みが引かない。それどころかどんどん痛くなってくる。ついには横になったまま動けなくなり、そのままじっとしているのがやっとの状態に。ほとんどうめき声みたいな状態で親を呼び、そのまま救急で病院へ。この時21時くらいだったかな。

 病院に着いて待ってる間も当然ながら痛い。長椅子にうつ伏せになってなんとかこらえてました。

 診察の結果は虫垂炎。ある程度年のいった先生が診てくれたのですが、その時は薬をもらって診察終了。家に帰りました。

 が、家に帰っても全然痛みが治まらない。薬が全く効かない。さすがにこれはダメだろということで2時間後再び病院に戻りました。

 時間で担当が変わったのか今度は若い先生が診てくれました。そして先ほどとは異なり点滴をしてもらい(これでかなり楽になった)、レントゲン、エコー、CTなど一通りの検査をしてくれました。

 手術という選択肢もあったのですが、そうなると1週間は最低でも動けなくなります。仕事も忙しくなる時期でちょっと今は無理ということで投薬治療をすることに。

  虫垂炎という病気は文字通り虫垂が炎症を起こしているわけで、薬を飲んだところですぐには炎症は治まりません。なのでしばらくは痛みが残っていました。それでも1週間ほどで痛みはなくなり。とりあえずは一件落着。

 

2回目

 今度は同年12月の中頃でした。朝なんとなく調子悪いなーと思いながらも支度して会社へ。が、始業時間前に「やっぱ無理」と言うことでそのまま病院へ行きました。

 例によって診断は虫垂炎。こんな短期間で再発かよと思いましたね。医師には手術しますか?って言われたけど年末でさらに忙しくなってるのに休めるわけなくてこの時も投薬治療。

  

3回目
 2回目の発症以降、しばらくは大人しくしていてくれた虫垂ですが、2度あることは3度ある。3回目の発症です。
 新年度が始まり最初の土曜日。怒涛の年度末が過ぎやっと一息つくことが出来たそんな日。
 休日ということで買い物に行ったりふらふら出かけていたのですが、朝からなんとなくだるくて、途中車の中で休むこともありました。夕方頃からお腹に痛みが出始めたのですが、虫垂の辺りを押しても特に痛むことはなかったのでまぁ大丈夫だろうと。ちなみにこの頃は虫垂炎の痛みや発症時の症状を知っていたので、自分でお腹を押して確認なんてことをしょっちゅうやってました。
 が、夜になるにつれて痛みが強くなってきました。そして思い出すあの感覚。この辺りであー来てしまったか…と察しました。もう夜だったので当初は朝まで我慢して病院へ行こうと考えてました。実際、我慢できないような痛みではなかったからです。しかしネットの方から「腹膜炎になったら大変だからすぐ行くべき」とアドバイスを受け救急で病院に行くことに。
 以前かかった病院に電話すると「今日は当番院ではないので別のところへ」と言われてしまいました。それからこの地域の当番院を聞き電話するも専門がいないとのことで断られ、さらに他の病院にかけても断られ…なるほどこれがたらい回しってやつか。結局最初にかけたところに改めて電話し、なんとか受け入れてもらいました。受診履歴大事です。
 診察の結果は予想通り虫垂炎そして病院に着いた頃から痛みが急に強まり我慢出来なくなってきました。病院来て良かった。専門的な検査は翌日改めてすることとなり、この時は点滴で一旦対処。
 抗生剤の点滴をしてもらったのですが、前回と異なりなかなか痛みが引かない…鎮痛剤をもらってなんとか治まりました。
 点滴は2時間ほどで終わったのですが、家に帰っても不安だったのでそのまま朝まで病院で休むことに。そしてさすがに3回目ということもあり今回は入院決定。場合によってはそのまま手術もあり得るとのこと。正直「3回目になったらさすがに切るか」という覚悟は以前からしていたので、もうどうにでもなれ感がありました。
 翌日、午前中に検査をして午後から入院。人生初の入院です。基本的には絶食して点滴して腸を休ませましょうって感じです。点滴しているのでお腹は空かないし喉も乾かないんですがなんせトイレに行く回数が多い・・・。たぶん1日15回くらい行ったはず。
 ところで時期的に花粉症に悩まされる時期だったんですが、さすが病院衛生管理はばっちりで薬を飲まなくてもくしゃみは出ないし目もかゆくなりませんでした。
 検査の結果、緊急性はないとのことで別に今すぐ手術をしなくても良いとのこと。また、正常時の手術であれば2,3日で退院できると聞いてじゃあその方向でとなりました。そしてこの時主治医となってくれた先生が最初に発症したとき検査等々してくださったあの若い先生でした。なんという偶然。
 入院中はスマホしたりラノベ読んだりしてひたすら時間をつぶすのみ。だってすることないんですもん。1週間程度の入院でしたが体重がかなり落ちました。入院ダイエットですね。そして体力も一緒に落ちました。普通に生活することがこんなに疲れるなんて・・・という感じ。本調子に戻るまでなんだかんだ1か月くらいかかりました。
 退院後、経過観察と手術の日程決めを行い6月の下旬に手術することに。それまで何事もないことを祈りました...。
 
 
 
手術
 あっという間に6月下旬となり、いよいよ手術となりました。この間に何度か県外遠征やらイベントやらがあったのですが、発症しなくて本当に良かったです。というか、そもそも虫垂炎ってそんなにしょっちゅう再発するものじゃないはずなんですがね・・・。
 
 私は日曜日の午後に入院して月曜日の午後に手術するパターンでした。当然入院してから手術前の検査とかいろいろするんだろうなぁーと思っていたのですが、びっくりするくらいに何もなし。「以前検査したので大丈夫ですー」って言われたんですが2か月前のデータで問題ないんだろうか。
 今回は手術ということもあってか個室があてがわれました。わーい。そして部屋に着いて早速おへその掃除とおへそ周りの剃毛。カミソリでしょりしょりやってくれるのかなと思ったら豪快に電動カミソリでやられました。が、歴戦の刃は切れ味が悪くなかなか剃れない&時々つっかえて痛いという苦痛な時間に・・・。そして「ダブルチェックなので」ということで若い女性の看護師さん2人に剃られたお腹を見られるという展開になりましたとさ。
 1日目は他にこれといってすることもなく、加えて何も食べてはいけないため晩御飯もなし。暇でした。
 
2日目
 病院の朝は早い。6時くらいにはもう誰かしら動き出してます。お年寄りが多いってものあるかもしれないですがね。
 いよいよ手術当日となりました。手術自体は13:30からだったのですが、この日はもう手術までなーんにもすることがなくて、加えて11時以降は水分の摂取も禁止だったので寝転んでスマホいじって時間をつぶしてました。午前中に手術担当?の看護師さんから流れの説明がありました。大体3日くらいで退院できるようです。
 今回の手術ですが、腹腔鏡という方法で行われました。これは腹部に3か所穴を開け、そこから器具を入れて処置を行うというものです。傷が目立たず回復も早いという特徴があります。
 そしてこの手術は全身麻酔で行われるのですが、正直私が手術以上に気にしていたことがありまして、それが「カテーテル」です。全身麻酔しちゃうと自分で排尿できなくなっちゃうんで自然にできるようにするために管を挿します。どこに?そりゃ出るところに。もうこれが怖くて怖くてしょうがなかったんですよ。男性のみなさんならわかると思いますけどあそこに管を入れるとかもう想像したくないでしょ。それで思わず説明に来た看護師さんに「あの、カテーテルってやっぱやります・・・?」って聞いてしまいました。そしたら「んー今回は時間短いし無いかな?」って。もう心の中でガッツポーズですよ。何も恐れるものはない。
 12時半頃になって看護師さんが手術着一式持ってきてくれたので着替えることに。服は全部脱いでT字帯というふんどしみたいなものをつけて前開きのワンピースみたいな手術着を着ました。これ肩の部分がボタンで留めてあって、そこをバシッと外すと腕を通すことなく服を脱がせられるようになってました。そんで血栓防止のきっついストッキングを履いて準備完了。なんやかんやのうちに親も来て13時半、いよいよ手術室へ。
 手術室までは自分で歩いて行きました。ベッドごとじゃないんですね。そしてドラマとかでよく見る「手術中」というランプのついた場所へ到着。中に入るとみなさんキャップとかエプロンとかをつけていていわゆる手術やる人たちのあの恰好でした。私もキャップを被せられ、いくつか質問を受け答えしていよいよ手術台へ。この時もうドッキドキです。
 「じゃあ寝転んでください」なんて言われて手術台に自分で寝転びます。そうすると丸いライトが上についてるんですね。これもドラマとかでよく見るやつ。で、タオルをかけられて着ているものを全て脱がされます。ここで手術着の肩のボタンが役に立つわけです。周りではいろいろと準備をしているようで、心電図をみるための機器が取り付けられたり点滴用の針が刺されたりいろんなことが同時進行していきます。
 手術を担当するのは主治医の若い先生。そしてベテランっぽいおじさん先生もいました。2種類くらい点滴で何か投与されたあとに「じゃあ麻酔入れるねー」と麻酔が入りました。意識がぼーっとしてきて、あぁこれが麻酔かーなんて思ったあたりで記憶が無くなりました。
 
 で、呼びかけられて手術台の上で意識が戻りました。どうやら手術は終わったようです。呼吸用に喉にチューブが入っているようで、私の意識を確認するとそのチューブを抜いてくれました。抜いてくれたはいいんですが、この時身体はまだまだ麻酔が全力で効いている状態。動かないのはもちろんのこと、自発呼吸もまだできないんです。それで「え、ちょっと息できないんだけど。あれ、声も出せない?身体動かないから意思表示もできないじゃんやべーよどうすんだよ」と軽く焦る。そして再び意識が無くなる。
 
 次に気付いた時は病室でした。この時16時くらいだったようです。身体が痛くて起き上がりたかったのですが術後2時間は絶対安静だとかで起き上がってはいけないらしく、これが一番つらかった・・・。逆に2時間経てば起き上がって歩いてもいいらしく、それはそれでどうなんだと思ってもみたり。とりあえずトイレに行くことから試してみたのですが、まずお腹に力を入れると痛いので普通には起き上がれません。そこで効果を発揮したのがパラマウントベッド。ボタン一つでリクライニング出来て非常に助かりました。
 身体を横にしたりしてなるべくお腹に力を入れずに起き上がるのですが、手術で内臓が動いたからか「ゴロッ」という音がお腹からします。今回行った腹腔鏡手術という方法ですが、お腹をガスでパンパンに膨らませて空間を確保し、お腹の中で作業を行うというもの。なので内臓が当初の位置から移動するため、その影響かと思われます。
 さてベッドから起き上がったはいいものの、トイレまでが遠い・・・。いや距離としてはわずか数m先なのですがこれほどまでに歩くことが大変とは思いませんでした。そんな状況なのでトイレ以外は起き上がることもせず、ベッドで過ごして終了。
 
3日目
 身体が痛い。
 上半身をリクライニングさせた状態で寝たのですが、寝返りがうてないことに加えてベッド自体が固くてとても身体が痛いです・・・。
 ずっと寝ていたいのは山々なのですが、腸の癒着を防ぐためにも歩いた方がいいらしいので自販機まで歩いてみたりしました。距離的には2~30m程度なんでしょうか。時間は有り余ってるのでゆっくりゆっくり歩きました。気分はザ・病人です。
 そして手術後やっとご飯が解禁。晩御飯からだったのですが、おかずとかついてしっかり1人前がいきなり出ました。「いきなり食べていいんだろうか・・・」とか思いながらも完食。
 
4日目
 当初この日に退院予定でしたが「さすがに無理だろ」と自他共に認めたため延期。しかし人間の回復力とはすごいものである程度普通に歩けるくらいにはなってました。
 ベッドから起き上がるのも慣れたもので極力腹筋を使わない起き方を覚えました。適応能力ってすごい。ご飯もしっかり食べて順調に回復。あとシャワーも浴びれてさっぱり。ちなみに入浴補助とかはないので頑張りました。
 
5日目
 やっぱり今日も身体が痛い。
 入院生活5日目、無事退院です。なんだかんだ5日で手術から退院まで出来てしまうんですね。でも早い人は翌日に退院するなんて先生に言われましたがさすがにそれは超人か何かだと思う。
 
 退院後もしばらくは無理せず安静にということだったので、適度に動きつつ食べるものも食べつつでも力は入れずみたいな生活をしてました。ちなみに3週間後には数百キロ先まで運転してライブ参戦して帰ってくるくらいのことはできたのでなんとかなるもんです。
 
 
 
経過報告
 最初の発症から約1年、手術から3か月ほどが経った現在ですが、何の問題もなく生活出来ております。手術後1か月くらいはお腹がゆるくなりやすい傾向にあったのですが、最近はそういうこともないように感じます。
 私の場合、再発に再発を重ねていたので手術前は「次はいつ発症するんだろう・・・」とかなり精神的に参っていたところがあり、そうした悩みから解放されたという意味でも手術してよかったと思っています。